kasuriかすりとはどんなもの?

久留米絣は福岡県南部・筑後地方に一帯で作られている絣。この地域は古くから城下町として栄えており1800年頃に旧久留米藩にいた井上伝(当時12歳)が発案したものが久留米絣の起源とされています。久留米絣は柄の部分が白くなっているのが特徴で、柄を生み出すために、先に糸の束を縛ったもの(絣括り:かすりくくり)を染色します。

このとき縛っていた(括っていた)箇所は染まらずに白いまま残るため、この部分が模様として浮かび上がるというしくみです。そして染めた糸を一本一本織ることで、一枚の織物を作り上げていくのです。人の手と時間とに磨き上げられた優れた技術、例えばその複雑な柄。久留米絣は経糸と緯糸の絣を合せてひとつの絣柄を作りますが、これは経と緯の柄を合せるという高度な技術なくしてはできないことです。さらに絵糸という水先案内の糸に従って経糸の束を粗苧と呼ばれる麻の表皮でくくることで早く、正確に千差万化の柄を浮き出せるようにする-そんな画期的な発案の中から、あのしく複雑な絣柄が織り上げられるのです。そして久留米絣は1957年に、木綿でははじめて「国の重要無形文化財」として指定されました。

charm久留米絣の魅力

絣は飛白とも書きます。紺色の中のところどころに染め残した白がボーッボーッと飛んで模様になっている状態をよく表しています。かすり、それはかすれた美しさです。一定の間隔をおいてくくることにより防染して染めた糸をほどくと、くくった部分の中心は白く残され両端は染めた色と白が混ざり合っています。この糸を経または緯、あるいは経緯に組み合わせながら織ると、染め残した白の周囲にかすれたような織りの乱れが出来ます。この部分を「かすりあし」といいますが、このかすれた部分にある模様に素朴な美しさを見出しているのが絣織りといえます。

history歴史

1800年頃に旧久留米藩にいた井上伝(当時12歳)が発案したものが久留米絣の起源とされています。ある日、伝は衣服が何度か水をくぐって色あせたところに、白い斑点がついているのに気付きました。粗けずりな美しさを持ったその斑点に魅せられた伝は、持ち前の探究心が沸き立つのを抑える事が出来ません。急いでその服を解き放ち、糸の黒白にならきはなし、糸くくりました。そしてこれを藍汁に染めて乾かし、そのくくり糸をといてみたのです。

-するとどうでしょう。これを機にのせてみると白い斑点が数百点布面に現れ、不思議な魅力を持った新しい織物が仕上がったのです。この織物は所々かすれたように見えることから「加寿利」と名づけられました。

これが、久留米絣のはじまりです。重要無形文化財としての芸術性。多彩な表情。そして、いつも人々のとなりにある身近なあたたかさ。絣を愛する人々にとって井上伝という名は忘れる事の出来ないものなのです。

production area産地

絣のふるさとはインドといわれています。
インドからボルネオやスマトラといった南方諸島を通って、十四世紀頃沖縄に伝わりました。沖縄では身の周りのもの雲や水や燕や大工の規定などを素朴で簡潔にデザイン化し経絣に織りあげました。琉球絣です。
こうした南方系の絣とは別に、日本独特の絣が十八世紀の終わりに久留米で井上伝によって考案されたのが久留米絣です。

features特徴

  • 綿100%でお肌に優しい
  • 夏は1枚で着ると涼しく、冬は重ねて着ると暖かい。(着用シーズンが長い)
  • お手入れしやすく、ご家庭で洗濯できます。
  • 着れば着るほど綿織物独特の柔らかさと風合いが出てきます。
  • 動きやすさ、シルエットの美しさにこだわってデザインしているので、飽きる事なく長年愛用していただけます。

お手入れ方法は簡単

01 水に家庭で使用できるドライ用洗剤を適量入れ、押し洗いします。
02 その後、10~15分間、浸け置きして、水を流しながら1,2回すすぎます。
03 水から出して軽く絞ります。
脱水機を使用する場合は早めに取り出し、かけ過ぎないように。脱水後、地の目をのばします。
04 裏返しにして型を整え陰干しします。
その時、シワを伸ばすようにしておくと、乾いたあとアイロン掛けの必要がありません。
  • 汚れは早めに洗うのがコツです。また、ホコリを避けないと埃やけします。特に藍染は焼けやすいのでご注意ください。
  • 小千谷縮を使用しているお洋服については、麻織物ですが、綿と同じく手洗いできます。
  • 大島紬を使用しているお洋服については、絹織物ですので、クリーニングに出されることをお勧めします。

Production製作工程

  • 01.柄つくり(図案)・絵紙

    まず絣の柄のデザインを行います。デザイン画を方眼紙のような図案専用用紙に書き、糸の配分・配置を決めます。

  • 02.経尺づくり

    絵紙に合わせ経尺をつくります。

  • 03.下絵・絵糸書き

    緯糸の収縮具合を考慮して、図案を書き直します。絵糸書きは、緯糸を括る際の、基礎となる糸を作る作業です。ピンと張られた白い種糸を、下絵に沿って丹念に墨付けします。

  • 04.経はえ(整経)・緯はえ(整緯)

    絣の糸配分が決まると、織るのに必要な糸を経糸、緯糸と用意します。

  • 05.糸たき(精練)・さらし(漂白)・糊付け

    糸の不純物を取り除くため2~4 時間ほど煮沸します。漂白をし、糊付けをすることによって、糸の乱れや毛羽立ちを防ぎます。その後乾燥させます。

  • 06.手くくり

    経糸、緯糸の柄になる部分をくくって防染する作業です。くくった部分は染色時に色がつかず、ほどいたところが柄になってゆきます。絣模様の原点で、作品の仕上がりに影響する重要な工程となります。

  • 07.藍建・藍染・水洗

    藍染で染めるための準備を行い(藍建)、糸の染色を行います。藍染は染まりをよくするために、糸をたたき空気を入れ染める、という作業を15~20 回ほど行います。一晩ほど温水につけ、藍染めの際糸についた不純物や余分な染料、アクを抜きます。

  • 08.藍解き

    水洗いした糸を張り、乾燥しないうちに、くくった粗苧を手早く解きます。

  • 09.水洗・漂白・糊付・乾燥

    染めた色を際立たせるため、再び洗い漂白します。糊付けは糸の毛羽立ちを防ぎ、強さを増し経糸の張力を平均化し、絣乱れ、糸乱れを防ぐとともに整織を容易にします。そして天日干をします。

  • 10.経割(柄あわせ)

    括るときに、糸は4つ折にしているので、これを割って長く伸ばし、経糸を柄になるよう束ねていきます。

  • 11.割り込み・筬通し

    絵紙で決めた糸数にならい無地糸とかすりを並べていきます。この並べられた経糸を、端から順番に筬羽(おさば)に通していきます。

  • 12.経巻き

    織り機に経糸をセットする為巻き箱に巻き取ります。

  • 13.あぜかけ(綜絖通し)・機仕掛・緯割・枠上げ・管巻)
  • 14.手織り

    手織りの場合は、投杼機(なげひばた)を用い、柄模様を合わせながらトントンと丹念に織っていきます。経験と技術を必要とします。

  • 15.湯のし・乾燥

    工程途中につけた糊が取れ、風合いがよくなるので、織りあがった布を防縮・色とめをかね、湯通し・乾燥させます。

  • 16.整反・検査・久留米絣の完成

    織物を尺台に乗せ、はさみでふしなどを取り、幅や仕上がりを調べながら、所定の長さに裁断します。四つ折りに畳んで製反します。以上で久留米絣の完成となります。

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